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弁護士コラム Column

「密室の恋」    

2006年07月03日
弁護士 上野 精

「密室の恋」
夏の昼下がり,いつの間にか講義を進める教授の声が遠のき睡魔にとらわれる。うとうとしている耳に
「密室の恋」との言葉が飛び込んでくる。「えっ,確か今は刑法総論の時間だったはずだが」と気がついたときに目が覚めた。眠気の残る目をこすり,テキストを眺めるとそこにあったのは「密室の恋」にあらず
「未必の故意」の5文字であった。
というのも,今は昔,半世紀も前の出来の悪い学生時代の思い出の一つである。司法改革の一環として裁判員制度の導入が決まり平成11年度からの実施が予定されているが,殺人事件でよくある被告人の殺意の否認に対し,検察官から出される「少なくとも被告人に未必の故意があったことは明らかである」との主張の当否を判断する前提として,「未必の故意」とは何かということを裁判員に正しく理解してもらうためには,誰がどの様に説明するのがよいのだろうか。
単純に定義するだけでよいのであれば,広辞苑(第5版)にあるように「行為者が,罪となる事実の発生を積極的に意図・希望したわけではないが,自己の行為から,ある事実が発生しても仕方がないと認めて,行為する心理状態。故意の一種。」ということになるのだけれど。
国民に分かり易い裁判と言うのは容易いことであるが,裁判の実際の場で使用される用語の一つをとってみても,分かり易いまた平易な言葉で,しかも正確にということになると,これを説明する裁判官,検察官,弁護人の負担は大きいものがある。これに加えて,迅速な裁判ということになれば,自白事件は別として,否認事件の場合はどの様なことになるのか。そのしわ寄せがもっぱら被告人に集中することだけは避けたいものである。

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